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メッセージ

私たちの究極の目標は、有機化合物を思いのままに、自在に合成できるようになることです。その目標に向かって、当研究室では天然有機化合物の全合成に挑戦しています。また、その合成に役立つ新しい反応や合成論理の開拓も行っています。合成目標とする化合物の中には、天然から僅かしか得られない希少なもの、有用かつ強力な生理活性を持つもの、あるいは珍しい構造をもつもの、ときには非常に不安定で取り扱いにくいものなどもあります。それらをどのような作戦で効率的かつ選択的に作り上げるか。そこが我々の腕の見せ所ともいえます。

現在、私たちは、1)ハイブリッド型天然物(生合成経路を異にする構造単位が複合構造を形成している化合物)、2)高度に酸化された骨格を持つ化合物、3)歪んだ構造や、多環構造をもつ化合物、などに興味を持ち研究を進めています。どれも一癖二癖ある化合物ばかりで、そう簡単に合成できるわけではありません。

天然物合成はよく登山に喩えられますが、実際チャレンジしてみると、合成経路の開拓は、さながら地図を持たずに道なき道を突き進んでいくようなものです。遭難せずに難攻不落な要衝を越え、最終的に未踏の山の頂に到達するためにはどうすればよいでしょう?そこに私たちはあらん限りの知恵を絞ります。山の高さや急峻さによって登山の難易度が異なるように、合成においても標的化合物の構造次第で合成のアプローチが大きく変わります。成功のポイントは、個々の化合物において直面する特有の合成的課題を如何にして解決するか、ということです。私たちの研究室では、これまでにない独自の方法論を開拓し、それを駆使して全合成を達成するため、日々研究を続けています。下には、最近私たちが合成に成功した天然物の一例を挙げました。これらの合成は新しく開発した反応、合成論理を駆使して達成したものであり、そのほとんどが世界初です。

研究の主役は、いつも学生さん達であり、彼らが日々の実験の中で見つけたヒントが新たな発見を生み、またブレークスルーにも繋がります。時には実験に失敗して、研究に行き詰まるもよしです。それも次なる発見に向けての「布石」となります。

なお、当研究室の特色の一つとして、他大学の出身者が多い点が挙げられます(半数以上は外部から!)。例年、海外からのポスドクも参加します。また、短期・長期の留学生が仲間に加わることもあります。いろいろなバックグラウンドを持つ人達が、お互いに切磋琢磨してそれぞれの高みを目指しています。

私たちは、このような独特の研究環境の中で鍛え上げられた「有機合成のスペシャリスト」達が、今後も社会で大活躍してくれることを期待しています。

 

※東工大HPに鈴木先生のインタビュー記事が掲載されています。ご興味のある方はこちらもご覧下さい。

リンク→「顔 東工大の研究者たち